2015年9月賛美曲

2015年9月の大久保バプテスト教会の賛美曲

 新生讃美歌292 「安かれわが心よ」

Be still, my soul 原詞 Stille, mein Wille! dein Jesus (曲名)FINLANDIA

作詞 Katharina von Schlegel (1697-1768)       作曲 Jean Sibelius(1865-1957)

1752年、カタリーナ A. D. フォン シュレーゲルによってこの詞は作られました。

作詞者であるカタリーナは1697年、ドイツのケーテンに生まれました。それはケーテンから約130km離れたアイゼンナッハでJ. S. バッハが生まれてから12年後のことでした。カタリーナが20歳から25歳まで過ごした教会は、バッハが6年間音楽監督として仕えた教会でもありました。カタリーナ自身もオルガニスト、また作曲家としても知られていたようです。少なくとも20曲以上の賛美歌を書き、賛美集としても出版されました。カタリーナは、ライプツッヒから北西約50kmケーテンにあるドイツ福音教会の修道院修道女長であり、ドイツ敬虔主義の指導者の一人としても知られていました。

さてドイツ語で書かれたStille, mein Wille! dein Jesus が最初に出版されたのが1752年。それから100年後、スコットランドに住んでいたJane L. Borthwickによって英語に訳されました。1932年アメリカの長老派歌集「The Hymnal 1933」に編入され出版されました。カタリーナはたくさんの節を書きましたが、ジェーンは5節しか英語に訳しませんでした。現在はそのうちの3節が通常賛美されるようになりました。

カタリーナの詞にはいくつかの曲がつけられましたが、アメリカで出版されたときにシベリウスの交響詩「フィンランデイア」の曲がつけられたことによって急速に有名になりました。アメリカ長老派賛美歌集の編集委員会は当時68歳のシベリウス自身にその編曲を依頼し、この賛美歌ができたのです。

「FINLANDIA Op.26」がシベリウスによって作曲されたのはまだ独立前のフィンランドがロシア政策の厳しい締め付けの中にあった1899年でした。(ちなみにフィンランドの独立は1917年。)1900年に初演された時の曲名は「Suomi herää」(目覚めよフィンランディア)。この作曲の背景には、当時フィンランドを支配していたロシアに対する独立運動の高まりがあります。そのためフィンランドへの愛国心を沸き起こすとして、帝政ロシア政府がこの曲を演奏禁止処分にしたのは有名な話です。しかし、実際には曲名をふせたり、変えたりして各地で演奏が続けられていたようです。交響詩「フィンランデイア」は8分ほどの作品ですが、5分過ぎから静かに美しく、この賛美歌に使われている旋律(「フィンランディア賛歌」と名付けられている)があらわれます。また交響曲の最後では賛美歌の最初の部分の旋律がオーケストラの荘厳なハーモニーをともなって再び演奏されて曲が終わります。

2015年の今年は、シベリウス生誕150年にあたる記念すべき年でもあり、各地でシベリウスの作品が演奏されています。

「安かれわが心よ」の日本語訳は日本文学史家の笹渕友一によるものです。