励まし合える喜び

「励まし合える喜び」 二月第一主日礼拝 宣教 2020年2月2日

 ヘブライ人への手紙 10章19〜25節        牧師 河野信一郎

先週の26日から本日までを「協力伝道週間」として過ごし、日本バプテスト連盟に連なる全国の319の教会・伝道所と連盟の働きを覚えて祝福を祈り、献金を献げてきております。そういう中で、最新の「宗教年鑑」が発行され、プロテスタントとカトリックのクリスチャン人口の県別ランキングが発表されました。

人口が多い都道府県の第一位は東京、2位は神奈川、3位は大阪、4位は長崎、5位が兵庫、6位が福岡、7位が愛知、8位が北海道、9位が埼玉、10位が千葉ということで、東京と神奈川と埼玉と千葉の4つだけで全国の65%のクリスチャン人口が集まっているということです。

少ない順でゆくと、第一位が福井、2位が富山、3位が島根、4位が鳥取、5位が徳島、6位が高知、7位が佐賀、8位が岩手、9位が秋田、10位が香川となっていて、日本海側と四国のクリスチャン人口が少ないことがよく分かります。そして、連盟の諸教会でもこのランキングと同じように、1県に1つの教会しかなく、会員数も少なく、財政危機にある教会が、福井、富山、島根、鳥取、徳島、高知、岩手、秋田にあります。

このランキングからも分かりますように、東京、神奈川、埼玉、そして千葉の諸教会がこのように頑張っている諸教会の伝道に協力して行くことが急務なのです。ですから、この8日間だけに祈りを集中するのではなくて、日々の生活の中で祈りに覚えてゆき、協力伝道献金を精一杯献げてゆくことが私たちの責任なのです。わたしたちは主イエス・キリストによって一つの神の家族、教会とされていることを喜び、感謝し、祈りと献金によって励ましてゆくこと、それが協力伝道であります。「励まし合う」こと、それができる恵みを喜び、感謝したいと思うのです。

さて、今日はヘブライ人への手紙10章からご一緒に聴いて、新しい1週間を歩んでゆく力を受けてゆきたいと願います。

このヘブライ人への手紙を書き記した人は誰であるかはっきり分かっていませんが、この手紙を記した人は創造主なる神を信じ、イエス・キリストを贖い主、永遠の命への道を開いてくださった救い主であることを真心から信じ、喜び、感謝して生きていた人であったことはこの手紙を読む中で確かなこととして分かります。そしてこの人の素晴らしい点は、イエス・キリストを救い主と信じる大勢のユダヤ人クリスチャンたちを励ますことを喜びとしていたという点です。この手紙は、旧約聖書とユダヤ教に関する知識があるとよく分かると思いますが、イエス・キリストを救い主と信じる信仰のみでも大切なことをたくさん学べますので、まだ信じることまで至っていない方は「信じてみたい」という心持ちで、そして信じている兄弟姉妹はとにかく主イエス様を見上げて、主のみ声を聴いてゆきたいと思います。

今朝の聖書箇所は10章の19節から25節までですが、ここには日々信仰の戦いにある人、イエス様から心が離れかけている人、信仰の土台が揺らいで霊的力を失いかけている人たちに対して、イエス様から決して離れないようにとの熱心な勧め、励ましが3つ記されています。その3つとは、1)信仰をもって神様に近づこう、2)主にある希望を持ち続けよう、3)互いに励まし合おうというものです。今朝、わたしたちもこの3つの励ましを受けてゆきたいと思います。何故ならば、日々の生活の中で、わたしたちの心が、信仰の土台が揺さぶられること、信仰が試されることが絶えずあり、本当に多くあるからです。皆さんは、そのような只中で、苦しみもだえていないでしょうか。そのようなわたしたちに励ましが与えられています。

まず、19節から22節に一つ目の励ましが記されています。この励ましは、信仰をもって神様に近づこうというものです。神様はいつも近くにいてくださいますが、不幸な出来事が続いたり、災難があるとわたしたちの方から離れてしまうことがありますので、その土台・基礎をしっかり固め、わたしたちから神様に近づくことも恵みとして神様から招かれているという励ましを受けたいと思います。では、神様に近づくためにわたしたちの土台・基礎となることはなんであるかということになりますが二つあります。

一つが19節と20節です。「それで、兄弟姉妹たち、わたしたちは、イエスの血によって聖所に入れると確信しています。イエスは、垂れ幕、つまり、御自分の肉を通って、新しい生きた道をわたしたちのために開いてくださったのです」とあります。つまり、主イエス・キリストの十字架、血潮、贖いの死によって永遠の命への道が開かれ、神様のおられる聖所・天国へわたしたちは招かれているのですから、その恵みを疑うことなく確信し、その信仰を持ち続けようということです。

しかし、霊性が弱っている時、自分に自信がない時は、そのように信じたいと思ってもなかなかできません。ですから、もう一つの大切なことを覚えなさいと励まされていて、それが21節に記されていますので、ご覧ください。「更に、わたしたちには神の家を支配する偉大な祭司がおられるのですから」とあります。これはイエス様のことです。たとえわたしたちが弱くても、主イエス様がいつも共におられるのですから、信じて、神様に近づこうと励ますのです。しかし、神様に近づこうとするときに大切なことが二つあります。それは、主イエス様を信頼しきってということと、真心をもってということです。この二つが大切だと励まされています。この二つをもって神様に近づく時に何が与えられるのか。それが22節に記されていることです。「わたしたちの心は清められて、良心のとがめはなく、体は清い水で洗われる」とあります。これは、聖霊の業、働きです。主なる神様がそのような恵みを与えてくださるとの励ましです。

二つ目の励ましは23節に記されていることで、主にある希望を持ち続けようということです。この恵み、祝福を「約束してくださったのは真実な方(神)なのですから、公に言い表した(救い主イエスにある)希望を揺るがぬようにしっかり保ちましょう」とあります。永遠の命、祝福、神の御許に置かれるという約束をイエス・キリストを通して与えてくださったのは神様です。その神様は「真実なお方」であるとあります。その真実なお方がお遣わしくださった救い主イエス・キリスト、いつも共にいてくださる主に希望を抱いて、日々生活しなさいという励ましです。主が与えてくださる信仰、希望をわたしたちがしっかり保ち続けることが神様の御心であり、願いであることを覚えて感謝したいと思います。

三つ目の励ましは24節と25節に記されていることで、神の家族とされている兄弟姉妹たちと日々励ましあって、祈り合って、愛し合って、支え合って、仕え合って生きて行こうという励ましです。24節から読みます。「互いに愛と善行に励むように心がけ、ある人たちの習慣に倣って集会を怠ったりせず、むしろ励まし合いましょう。かの日が近づいているのをあなたがたは知っているのですから、ますます励まし合おうではありませんか。」とあります。

「かの日が近づいているのをあなたがたは知っているのですから」というのは、主イエス・キリストが再びこの地に来られる日が近づいているという意味です。その日は日々近づいており、いつその日が来るか、いつまで自分の命があるか、わたしたちは分かりません。ですから、悔いのない生活を送りなさい、「互いに愛と善行に励むように心がけなさい」と励まされています。主にある兄弟姉妹たちのことをいつも「心がけなさい」と励まされています。

わたしたちは「自分のことだけで精一杯」と思いがちですが、そのように思うのは一方的にイエス様を自分の心から締め出してしまい、自分の力だけに頼っていることの表れです。ですから、そのような自分であることをいつも認め、悔い改め、主を見上げ、主に信頼することが大切です。そのように主に信頼する時にわたしたちの心は整えられ、自分のことよりも周りにいる人々、特に兄弟姉妹のことを思いやること、愛すること、祈ること、その人を励ましたいという気持ちが自然と心から湧き上がってきます。しかし、それもすべて、愛と平和、忍耐と慰めと希望の源である神様から豊かに与えられる愛と力であり、わたしたちが互いのために励まし合ってゆくための恵みであります。そのことをいつも感謝し、ますます励まし合ってゆきましょう。それが神様とイエス様の御心です。