2013年6月の賛美曲

新生395 伝えましょう イエスの救い (栄主ぬ救い)

6月を迎えるとき、私たちが忘れてはならない日があります。それは 6月23日、沖縄地上戦が組織的に終結した日です。沖縄ではこの日を「慰霊の日」と制定し、沖縄戦の戦没者の霊を慰めて平和を祈る特別な一日とされていま す。一般県民を巻き込み、20万あまりの尊い命と財産や、沖縄の文化財、自然がことごとく奪われた沖縄戦は、太平洋戦争で、唯一、日本国内の一般住民が地 上戦を体験したという、まさに地獄そのものでした。沖縄戦における20万人を越す戦死者のうち、約半数に近い、じつに9万4000人余りの戦死者が、兵隊 以外の一般県民や子供でした。

日本バプテスト女性連合ではこの6月23日を「沖縄 命(ぬち)どぅ宝の日」とし、いつも沖縄を覚えて平和を祈り、悔い改めの実として福音宣教のために活動していくことを決めました。日本バプテスト連盟は 1955年に「国外」宣教師として調正路師を沖縄に派遣し、沖縄伝道を開始してしまった過ちの歴史があります。1988年の連盟第47回定期総会で、沖縄 を「国外」と位置づけたことを神の前に悔い改め、隣人性の欠如、歴史に対する認識の欠如が沖縄の人々に大きな悲しみを与えたことを謝罪しました。同時に沖 縄バプテスト連盟との新しい関係づくりを目指し、両連盟が協力しつつ、新しい宣教プロジェクトを模索していくことになりました。私たちの教会でも6月は沖 縄の方々が今もさまざまに痛みを負い続けていることを覚え、過去を悔い改めつつ、「平和をつくり出す人たちは、さいわいである。」というイエスのみ言葉を分かちあい、伝 えていく者でありたいと願います。

そこで今月は、以上のことを覚えつつ、沖縄で生まれた賛美、新生讃美歌395 番の「伝えましょう イエスの救い」をご一緒に歌って参りましょう。この賛美はもともと「琉球讃美歌 (沖縄バプテスト連盟宣教100周年を記念し て出版された)」に載っていた「栄(エ)主(ス)ぬ救い」という琉球語で書かれた賛美歌を標準語に直したものです。「栄主ぬ救い」は、沖縄の有名な民謡 「てぃんさぐの花」の旋律に金武教会(沖縄バプテスト)の横田盛永牧師が琉球語で賛美の歌詞をつけられたものです。このように民謡の節に賛美の歌詞がつい たものは民謡賛美歌といわれます。一節のみ以下に記してみます。

琉球語
1.拝(うが)でぃ拝(うが)みぶしゃ 天ぬ神がなし
語(かた)い 告(ち)ぎぶしゃや 栄主(エス)ぬ救い

私訳
拝したい 天の神の愛を
語り告げたい イエスの救いを

曲は典型的な沖縄音楽の特徴であります琉球音階が使われ ています。琉球音階とは鍵盤で「ドレミファソラシド」と弾いたときの「レ」と「ラ」を抜く(つまり「ドミファソシド」と弾く)のが西洋音階との最大の違い です。沖縄県全域や与論島(よろんじま)、沖永良部島(おきのえらぶじま)で多く使われている音階です。この音階は、台湾、インドネシア、インド、ブータ ン、チベットなどにもみられ、アジアに広く分布しています。