「この一年を振り返るマリア」 年末感謝礼拝 宣教要旨 2013年12月29日
ルカによる福音書2章15〜19節 牧師 河野信一郎
マリアは「これらの事をことごとく心に留め、思い巡らした」とルカ2章19節にあります。マリアは、神がこの一年の間に彼女に成してくださったすべての出来事と出会いに心を留め、神のお導きとお護り、恵みを思い巡しました。2013年最後の主日に救い主・幼子イエスの誕生までのマリアの一年を振り返りながら、わたしたちのこの一年の歩みを振り返りたいと願います。
まず12ヶ月から10ヶ月前、ヨセフと婚約していたマリアは幸せの絶頂期にいました。ヨセフとよく話し合い、結婚の準備をし、人生計画を立て、夢で心を膨らませていたことでしょう。
けれども10ヶ月程前に御使いが突然マリアに現れて、「あなたは身ごもって神の子・男の子を産む」と一方的に宣言されてしまいます。この告知で彼女がヨセフと立てていた計画はすべて一瞬で水の泡となってしまいましたが、マリアは神の御旨に聞き従う道を選びました。
御使いが帰って後、マリアはナザレから100キロほどのユダの町に住む親戚・エリサベツに会いに行き、そこで3ヶ月程過ごします。この期間、マリアの心は整えられてゆき、いかに自分が恵まれているのかを主に告白し、神に賛美をささげますが、ナザレに一人残されたヨセフは気が気でありません。マリアが自分以外の子を妊娠したと聞かされて打ちのめされ、婚約を解消することも考えましたが、夢で御使いが現れ、マリアが聖霊によって妊娠したことを告げられ、彼女を妻として迎えるよう励まされます。3ヶ月後にナザレに戻ったマリアとヨセフの関係は少しぎこちなくなったのではないでしょうか。
妊娠後2〜4ヶ月間はつわりで大変であったでしょう。
彼女の妊娠を家族にどのように伝え、家族の反応はどうであったのでしょうか。辛いことを言われたり、小さな町でしたから噂も流れたかもしれません。じっと忍耐して過ごしたのかもしれません。しかし、そのような時に皇帝から人口調査の勅令が出ます。主なる神は、税金収集目的の皇帝の勅令を用いて、マリアたちをベツレヘムへと導きます。神は、人の成す良いことも悪いこともすべて用いてわたしたちを導き、守ってくださり、祝福してくださいます。
人口調査の登録はヨセフひとりで可能でしたが、彼はあえてマリアを連れて旅に出ます。出産日が目前で、マリアを一人にできない、出産に立ち会って彼女を励ましたかったからかもしれません。それ程までにマリアはヨセフに愛されていました。
2章5節に「すでに身重になっていたいいなずけの妻」とありますが、なぜ「いいなずけの妻」とあるのでしょう。それは彼らが計画していた結婚式が挙げられなかったからかもしれません。大勢の人に結婚を祝福して欲しかった、楽しみにしていた結婚式よりも、彼らは神の御心とご計画を最優先していったのです。産まれた赤ちゃんもちゃんとしたベッドに寝かせてあげたかったでしょうが、ベツレヘムに滞在中にマリアは初子を産み、布に包んで飼い葉桶に寝かせます。これらの出来事は、旧約の時代に神がイスラエルの民も約束されたことが全て成就するために起こりました。すべては神のご計画の中で進められていったのです。そのすべてをマリアは心に留めたのです。
抱いている幼子イエスの顔を見ながら、マリアは神の真実さに感動し、神に聞き従って本当に良かったと思い、神はすべてを益としてくださると感謝し、これからも神に従ってゆこうと決意し、神から託された幼子を大切に育ててゆくことを心に決めたのではないかと思います。
懐に抱く御子がマリアの喜び、希望でありました。この御子がわたしたちの救い主であり、喜び、希望です。この救い主インマヌエルが2013年もわたしたちと共に歩んでくださり、新しい2014年もわたしたちと共に歩んで力強く導いてくださいます。主に感謝し、委ねましょう。