心にキリストを

「心にキリストを」 二月第三主日礼拝 宣教要旨 2014年2月16日

エペソ人への手紙3章14-21節   副牧師 石垣茂夫                         

パウロは(とら)えられて獄中(ごくちゅう)にいた(とき)に、この手紙(てがみ)()いたと()われています。今朝は,そのエペソ人への手紙3章から、わたしたちの思いを、(はる)かに()えて(こた)えて(くだ)さる神を(おぼ)えましょう。

いつの時代でも、権力(けんりょく)を持った者は、自分を(おびや)かす存在(そんざい)を、()えず()にするようになります。パウロは、ローマ皇帝(こうてい)以外(いがい)(かみ)宣教(せんきょう)したことによって、(とら)えられ、投獄(とうごく)されていたのでした。獄中のパウロを支えたのは、キリストによって結ばれた多くの人々との(まじ)わりと、エペソの教会(きょうかい)で起きた、(かみ)による出来事でした。パウロは、エペソの教会(きょうかい)に集う、その誰もが差別なく、主イエスを(すく)(ぬし)(しん)ずることによって(すく)われ、(かみ)家族(かぞく)とされることを目の前で見てきたのです。そのことが獄中のパウロに大きな喜びと、力を(あた)えていたのでした。

わたしはバプテスト教会(きょうかい)(てん)(かい)するまでは、長い(ながい)(あいだ)、ホーリネス教会(きょうかい)()ごしました。

その教会は1935年創立(そうりつ)ですが、創立(そうりつ)して数年(すうねん)で、第二次(だいにじ)世界(せかい)大戦(たいせん)の混乱に()()まれていきました。1940年になると「天皇(てんのう)を神とする」という思想(しそう)一致(いっち)させようとする、言論(げんろん)統制(とうせい)(きび)しくなり、ローマ帝国(ていこく)時代と(まった)く同じことが起きたのです。伝道(でんどう)熱心(ねっしん)であったホーリネス教会が取締(とりしま)り(弾圧(だんあつ))の対象(たいしょう)(ターゲット)となり、この教会(きょうかい)の牧師は逮捕(たいほ)され、投獄(とうごく)されました。同時に、教会(きょうかい)は、集会(しゅうかい)(ひら)くことができないようにと、(へい)()されてしまいました。この期間に何人(なんにん)かの牧師(ぼくし)獄中(ごくちゅう)(いのち)()としました。この状況は、日本の統治下(とうちか)にあった朝鮮(ちょうせん)半島(はんとう)では、日本の軍部(ぐんぶ)によって、日本の何倍(なんばい)もの(きび)しい弾圧(だんあつ)がなされたことを、(わす)れてはなりません。

教会は、集まって「礼拝(れいはい)」することはできないという状況(じょうきょう)が、戦争の終結まで続きました。信徒は互いに離され、厳しい生活が続く中で、いつか(かなら)伝道(でんどう)できる時代が()るという希望(きぼう)を抱き耐えて行きました。戦争(せんそう)()わった(とき)(みな)さんが一斉(いっせい)教会(きょうかい)(あつ)まってきました。そして、さあこれから伝道(でんどう)しようと(いの)()ったのでした。そのようにして再び集められ、伝道が許される、こんな時代が来るということは、自分たちの力ではないと、強く感じたそうです。

先ほど読まれました箇所は、パウロの「内なる人を強くしてください」との祈りの言葉です。この「(うち)なる人」は、どうすれば(つよ)められ、(あたら)しくされるのでしょうか。

3:17パウロは 信仰(しんこう)によって、キリストがあなたがたの(こころ)のうちに()み、・・・』と言っています。

「内なる人」が(つよ)められ、(あたら)しくされるためには、「信仰(しんこう)によって、キリストがわたしたちの(こころ)()んでくださる(宿ってくださる)」ことが()かせないと、パウロは(おも)っています。

神は、「キリストというお姿(すがた)で、わたしたちの(うち)()み、わたしたちを(もち)いて、一緒(いっしょ)に働くことを」(のぞ)んでおられるのです。言葉を変えますと、「神は、わたしたちを(とお)して(はたら)かれる」と()ってよいことです。神が望んでおられるこのことを、わたしたちも祈りもとめましょう。その時、「内なる人」が強められ、神に従う力が与えられることでしょう。

パウロは、祈りの最後、20節から21節で、こう祈っています。

『 どうか、わたしたちのうちに(はたら)(ちから)によって、わたしたちが(もと)めまた(おも)うところのいっさいを、はるかに()えてかなえて(くだ)さることができるかたに、 教会により、また、キリスト・イエスによって、栄光(えいこう)世々(よよ)(かぎ)りなくあるように、アァメン』。 どの様なときにも、神を信頼し、神に期待して歩みましょう。