2017年8月 大久保バプテスト教会の賛美曲
あなたの平和の
Make Me a Channel of Your Peace
今年も8月を迎えました。毎年、この月を平和を祈り願う時として過ごしています。72年前の大戦への悔い改めと、また今なお、世界で起こっている紛争、その中で痛んでいる人々を覚え、礼拝を捧げていければと願います。そのために、今月の賛美として「あなたの平和の」という賛美歌を選びました。世界中で愛されている「平和の祈り」の詞に歌いやすい曲がつけられています。「あなたの平和の器にしてください 主よ 私をあなたの 平和の器に」という歌詞が、私たち大久保バプテスト教会の一人一人の祈りとなりますように。
さて「平和の祈り」はアッシジの聖フランシスコの作として知られていますが、実際にはフランシスコとは言葉の使い方が違う点や、19世紀以前の文献で、この祈祷文はまったく見つかっていないことなどからも彼のものでないことがはっきりしています。この原詩はフランス語で、カトリック信心会の小さな機関誌『La Clochette』(小鐘)第12 号に初めて掲載されました。それは第1次世界大戦前夜ともいえる1912年12月のことでした。「Belle prière à faire pendant la Messe」(ミサ中に唱える美しい祈り)と題されたこの祈りの作者は不詳です。その祈祷文には、署名も無ければコメントも一切無く、聖フランシスコへの言及もなかったそうです。この祈りはほどなくして教皇ベネディクト15 世(在位1914‐1922 年)のもとに届けられることになります。教皇の胸を打ったこの祈りは、翌1916 年1 月20 日にバチカンの日刊紙「Lʹ Osservatore Romano」に、その8 日後にはパリの「La Croix」紙に相次いで掲載され、その後ヨーロッパ中に知られるようになりました。1920 年頃フランスのフランシスコ第三会で配布された御絵カードに、「prièrepour la paix」(平和のための祈り)との題とともにこの祈りが印刷され、その際、アッシジの聖フランシスコの肖像が背景にあしらわれたため、この祈りはアッシジの聖フランシスコと結びつけられるようになったのではないかと言われています。
この祈祷文は、様々な場所で朗読され、唱和され、言及されてきました。マザー・テレサは彼女の修道会で毎朝これを唱え、ノーベル平和賞の記念演説では聴衆に向かって共に祈ることを求めました。イギリスのサッチャー首相の演説でも引用され、ダイアナ王妃の葬儀ではブレアー首相がコリント第一の手紙13章「愛の賛歌」の箇所を朗読した後、ウエストミンスター・カレッジ聖歌隊によりこの曲が歌われました。
☆作曲者について
セバスチャン・テンプル Sebastian Temple (1928-97年)
南アフリカ プレトニア生まれ。1951年にBBC(英国放送協会)の業務の都合で南アフリカからロンドンへ移住。1958年にカトリックの聖フランシスコ会の招きに応じて、アメリカへ移住。ロサンゼルスを拠点に、カトリックに改宗して多くの聖歌を残しました。生涯を通じて、礼拝の賛美作曲に力を注ぎ、フォークミサと呼ばれるギター伴奏などによって捧げられるミサのための賛美歌作家として知られています。なかでもこの歌は彼の代表作として最も親しまれているものです。
Make Me a Channel of Your Peace by Sebastian Temple |
Make me a channel of Your peace
Where there is hatred let me bring Your love
Where there is injury, Your pardon, Lord
And where there’s doubt, true faith in You
Oh, Master, grant that I may never seek
So much to be consoled as to console
To be understood as to understand
To be loved as to love with all my soul
Make me a channel of Your peace
Where there’s despair in life let me bring hope
Where there is darkness, only light
And where there’s sadness, ever joy
Make me a channel of Your peace
It is in pardoning that we are pardoned
In giving to all men that we receive
And in dying that we’re born to eternal life
© 1967 Sebastian Temple/OCP Publications
平和の祈り
神よ、わたしをあなたの平和の道具としてお使いください。
憎しみのあるところに愛を、
いさかいのあるところにゆるしを、
分裂のあるところに一致を、
疑惑のあるところに信仰を、
誤っているところに真理を、
絶望のあるところに希望を、
闇に光を、
悲しみのあるところに喜びをもたらすものとしてください。
慰められるよりは慰めることを、
理解されるよりは理解することを、
愛されるよりは愛することを、わたしが求めますように。
わたしたちは、与えるから受け、ゆるすからからゆるされ、
自分を捨てて死に、
永遠のいのちをいただくのですから。
<女子パウロ会訳>